3Dプリンター + 精密亜鉛イオンの金属めっきについて

ケーススタディVol.4

AdvancedEnergyMaterials:3Dプリンター + 精密亜鉛イオンの金属めっきについて

最近では、中国湖南大学の Duan Huigao 教授とそのチームが、BMF の PμSL 技術を用いた画期的な亜鉛電極の製造方法を提案し、亜鉛電極の主な課題を解決する全く新しいアイデアを提供しています。 本研究は、「3D-Printed Multi-Channel Metal Lattices Enabling Localized Electric-Field Redistribution for Dendrite-Free Aqueous Zn Ion Batteries」というタイトルで学術誌「Advanced Energy Materials」に発表されたものです。(インパクトファクター IF 29.37)

気候変動は、全人類にとって喫緊の課題となっています。 気候問題を改善し、二酸化炭素の排出量を削減するための重要な手段として、電力貯蔵技術は常に学術的研究と商業的推進の重要な方向性となっています。 その中でも、水系 Zn イオン電池(ZIB)は、環境に優しく、低コストで安全性が高いことから、次世代のエネルギー貯蔵技術の最有力候補と考えられています。

しかし、水系 Zn イオン電池の利点にもかかわらず、Zn 電極の副反応などの問題があり、さらなる開発や大規模な商業利用の妨げになっています。特に結晶成長の影響要因は最も大きく、尖った樹状突起結晶が電池内のセパレータを突き破りショートさせるため、バッテリーが無効になります。

3 次元亜鉛電極の製作の課題

亜鉛結晶成長を抑制する一般的な方法は、電解液の最適化、電極の表面改質、電極構造の最適化設計などが挙げられます。 特に、大きな表面積を持つ 3 次元亜鉛電極を製作することが、亜鉛結晶成長を抑制するのに非常に有効であることが分かっています。

しかし、現在このような 3D 電極にはまだ以下の問題があります。

  • 3 次元スポンジ Zn 電極は、それを支える十分な強度の骨格がないため、使用中に破損しやすく、結果的に寿命が短くなってしまいます。
  • 他の方法では、欠陥が無秩序に分布し、数百ミクロンの構造的なばらつきがある電極が作られ、電荷の移動が著しく妨げられ、金属コーティングの品質に影響を与えます。

高精度3D プリンターで新しい亜鉛電極の製造方法を提案

Duan 教授は、PμSL 技術を用いた新しい亜鉛電極の製造方法を提案しました。まず、BMF 製 3D プリンターで規則的な形状と安定したサイズ分布を持つ樹脂製の 3D 格子構造を印刷し、次に上記格子構造の表面にニッケル金属を無電解メッキし、最後に亜鉛金属を電解メッキして 3D Ni-Zn 電極を作ります。

この方法で製作した亜鉛電極は、非常に優れた利点があることが、以下のように示されています。

  1. 全体のサイズが0×8.0×1.0mm3 の電極に、辺の長さが 200μm、間隔が100μm の小孔が規則的に分布しているため、比表面積(specific surface area)が大幅に増加し、構造的な乱れが生じない。
  1. コーティングが均一に分布しているため、亜鉛の結晶成長などの副反応を効果的に抑制することができる。
  2. 優れたサイクル安定性を示す(0A g-1 で 1000 サイクル後に 80%の容量保持率)。

また、この方法は他の金属電極の製造にも適していると示されています。多くのお客様が従来の方法では加工が困難な格子構造の製作にBMFのPμSL技術を選択しています。

製品設計の常識を打ち破る3Dプリンター

PμSL 技術を用いて作製された格子構造は、最小サイズ 10μm 程度の微細化が可能で、全体寸法は数十ミリメートルのものであり、エネルギー貯蔵技術、触媒、 CO2 吸着、マイクロメカニクス、海水の浄化などの分野の研究や製品設計に常識を打ち破るなソリューションを提供します。

PµSL技術および製品詳細については、こちらまでお問い合わせください。

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